WordPressの後継を名乗るEmDashが面白い:プラグインを「信頼する」仕組みが変わった
by yasuna
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この記事はAIエージェントと一緒に執筆しています
こんにちは!yasunaです!
Cloudflareが「WordPressの精神的後継」と称するCMS、EmDashを発表しました。
TypeScript製、サーバーレス、Astroベース、MIT License。スペックだけ見てもそそられますが、一番面白いのはプラグインのセキュリティ設計です。
発表:Introducing EmDash — the spiritual successor to WordPress that solves plugin security(Cloudflare Blog, 2026-04-01)
EmDashとは
WordPressの何が問題なのか
WordPressは現在でもインターネットの40%以上を支えています。でも24年前に設計されたアーキテクチャは、今の環境に合っていない部分が増えています。
最大の問題はプラグインのセキュリティです:
- WordPressのプラグインはPHPスクリプトとして直接WordPressに組み込まれる
- 隔離がない:プラグインはデータベースにもファイルシステムにも直接アクセスできる
- プラグインをインストールする=ほぼすべてへのアクセスを信頼する、ということ
- WordPressのセキュリティ問題の96%がプラグイン由来
- 2025年は過去2年を合わせた数より多くの高深刻度の脆弱性が発見された
EmDashが提案する解決策
EmDashでは各プラグインがDynamic Workerという隔離されたサンドボックスで動きます。
プラグインはマニフェストに「自分が必要とするもの」を明示的に宣言して、その範囲でのみ動作できます。
import { definePlugin } from "emdash";
export default () =>
definePlugin({
id: "notify-on-publish",
version: "1.0.0",
capabilities: ["read:content", "email:send"],
hooks: {
"content:afterSave": async (event, ctx) => {
if (event.collection !== "posts" || event.content.status !== "published") return;
await ctx.email!.send({
to: "editors@example.com",
subject: `New post published: ${event.content.title}`,
text: `"${event.content.title}" is now live.`,
});
},
},
});
このプラグインができることは宣言した2つだけ:
read:content:コンテンツのライフサイクルフックにアクセスするemail:send:メール送信機能を使う
外部ネットワークアクセスも不可。必要なら接続先のホスト名を明示的に宣言する必要があります。
気になったポイント
「信頼する」から「確認できる」への転換
今のWordPressプラグインの信頼モデルは:
このプラグインはWordPress.orgでレビューされている→だから信頼する
中央集権的なマーケットプレイスの評判に依存しています。レビューキューは常に800件以上積まれていて、承認まで2週間以上かかる。
EmDashは違います:
このプラグインはこれとこれしかできないと宣言している→だから自分で判断できる
OAuthのスコープ同意に近い感覚です。「このアプリはカレンダーの読み取りとメール送信の権限を要求しています」と明示されるやつ。
これは信頼の構造が変わったということです。権威への信頼から、検証可能な宣言への信頼へ。
ライセンスとマーケットプレイスの問題
WordPressプラグインはWordPressのコードと深く絡み合っているため、GPLライセンスを引き継ぐ必要があるという議論があります。これがマーケットプレイス以外での有料販売を難しくしていました。
EmDashのプラグインはEmDashのコードを一切共有せずに独立して動くので、ライセンスはプラグイン作者が自由に選べます。
個人開発者として、これはかなり重要な変化だと感じます。
AIエージェント時代のマネタイズ:x402
面白いのがx402サポートです。
x402はHTTPベースのマイクロペイメント規格。クライアント(エージェント含む)がリクエストを送ると402 Payment Requiredが返ってきて、支払ってアクセスするフロー。
人間ではなくAIエージェントがウェブを閲覧する未来では、広告モデルが機能しなくなります。EmDashはこれへの答えとして、エンジニアリング不要でコンテンツへの課金設定ができる仕組みを内包しています。
ウォレットアドレスを設定して、どのコンテンツをいくらで公開するかを決めるだけ。
AIネイティブな管理:MCP・CLI・Agent Skills
EmDashには最初からMCPサーバーが内蔵されています。
- Agent Skills:EmDashのプラグイン構造・フック・テーマ移行方法などをエージェントに渡せる
- EmDash CLI:エージェントがローカル・リモートのEmDashを操作できる
- MCP Server:Admin UIと同じ操作をMCP経由でエージェントに実行させられる
「コンテンツの一括移行」「カスタムフィールドの変換」「テーマの調整」といった地味で反復的な作業をエージェントに任せられる設計が最初から入っています。
個人開発者として思うこと
Astroベースは個人開発フレンドリー
EmDashのテーマはAstroプロジェクトとして作ります。ページ・レイアウト・コンポーネント・CSSをAstroで書いてテーマにする。
このブログはLumeで作っているので直接は関係ないですが、TypeScriptとDeno周りの感覚は共通しています。Astroは別途学ぶ必要がありますが、コンポーネント設計の考え方は近いものがあります。
サーバーレスで個人運用のコストが変わる
Cloudflare Workersでゼロにスケールできるということは、アクセスがない時間はコストがほぼゼロということです。
個人の小規模サイトを複数運用する場合、WordPress的な「サーバーを常時立てておく」構成と比べてコスト構造が大きく変わります。
まだv0.1.0
今日時点でv0.1.0プレビューです。プロダクション利用するにはまだ早いですが、設計の方向性が面白いので追いかけていきたいです。
WordPressを使っているサイトからの移行ツールも既に用意されていて(WXRファイルインポート、またはEmDash Exporterプラグイン経由)、実用化への意気込みは感じます。
おわりに
WordPressは24年かけて世界のウェブの土台になりました。その後継を名乗るのは大きな主張ですが、EmDashが提示している変化——プラグインの信頼モデル・サーバーレス・AIネイティブ——は的を射ていると思います。
特にプラグインのセキュリティ設計は「なぜWordPressはずっとこれが問題だったのか」の構造的な答えになっています。権威によるレビューではなく、宣言による検証へ。
個人開発者として、TypeScript+Cloudflareという技術スタックが身近なこともあって、EmDashの今後は気になっています。
参考
- Cloudflare Blog: Introducing EmDash: https://blog.cloudflare.com/emdash-wordpress?utm_campaign=cf_blog&utm_content=20260401&utm_medium=organic_social&utm_source=twitter/
- EmDash Playground: https://playground.emdash.io
- GitHub: https://github.com/cloudflare/emdash